バーチャル・トラベル
世界が近く感じられた日
By Hans O. Karlsson
2日前、僕は台湾、台中市にいるベレンさんを僕のホームタウンの多治見市に連れていく体験をしました。僕たちは物理的には何千キロも離れたところにいますが、お互いVRの世界に入り、自分がなりたい姿に変身し(これをアバターと言います。以下アバターと記述します。)、向き合って座りながら話していました。この中ではボタンを押すだけで世界中の様々な場所やシーンに移動できますが、もちろんその際シートベルトは要りません。
僕たちはまずある陶芸家が、まだ赤らんでいる抹茶碗を窯から取り出すシーンに入りました。その次は成人式のシーンで綺麗な着物姿の女の子たちのグループの中へ。また移動して夏祭りで鉄板の上で焼きそばを作っているシーンに入って行きました。汗をかきながら焼きそばを焼き、みんなに取り分けているところでした。これらのシーンは静止画なので、登場した人は僕たちに気がつくはずもありませんけどね。僕たちはまるで透明人間になったような感じで場所も時間も越えて多治見の旅行をしたのです。
この技術ができる前だったら、おそらくベレンさんは多治見を見ることはなかったでしょう。僕たちが現実の世界で出会う可能性はほとんど無いのですから。今回の体験は現実の世界で起こったかのように、僕たちの意識の中に印象深く刻まれた出来事となりました。終わった後、僕はベレンさんと友達になれたように感じていました。彼も同じように思ってくれていたら嬉しいのですが・・・。
このVRの旅の間、その様子をいくつかセルフィーカメラで撮ってみました。そして短いコメントを添えて、フェイスブックに投稿したところ、ベレンさんは僕にその写真をシェアしてもいいか聞いてきました。もちろんいいよと答えたら、彼はシェアしてくれただけでなく、このVRツアーについて中国語で長い記事を書いてくれたのです。以下に彼の文章を翻訳してみました。
今朝の午前10時、日本の時間では午前11時ですが、私は日本の多治見市のVRツアーに参加しました。来年2020年には東京オリンピックが開催されるため、日本政府は今インバウンド旅行に対して予算を増やしているそうです。私は今回紹介してもらった多治見のような小さな町にも旅行者が訪れて欲しいと思っています。今日のVRツアーのガイドをしてくれたのはスウェーデン人のハンスさんでした。彼は日本に30年も住んでいて、日本人女性と結婚しています。彼は一体型のVRヘッドセットのオキュラス・ゴーを装着し、ダウンロード無料のVタイムというアプリケーションを使い、彼が住んでいる日本の地方都市、多治見を案内してくれました。この市には10万人くらいの人が住んでいるそうです。
ところでこのツアーの写真の中に僕のアバターを見つけられますか?今日はメガネをかけていますよ!
多治見市は岐阜県に位置し、名古屋から電車で30分ほどの場所にあります。ここは陶磁器産業で有名なのだそうです。美濃焼の名前の由来にもなっていますが、美濃地方にある都市の一つです。地方都市はその地独特の個性と習慣がたくさん感じられ、奥深いようです。もし、冒険が好きで、名古屋方面に旅行に来ることがあったら、ハンスさんに連絡してみてください。彼は大通りから少し入ったところにあるようなユニークで小さな居酒屋とか教えてくれますよ。
実際今回参加したVRツアーはどうだったと思います?一体型のVRゴーグル(スマートフォンなどをセットしなくても使用できるVRゴーグル)を装着し、とても自然な体験となりました。私はVRゴーグルをかぶって、Vタイムのアプリを起動し、その中でハンスさんからの招待を受けるとVRルームの中に自分がいることが分かりました。その上マイクやイヤホンのややこしい操作も要りませんでした。そして彼が360度カメラで撮った写真の中に一緒に入ったら、多治見にいるという気分になりました。このような風景に入り込んだまま、遠く離れた日本についてスウェーデン人とVRで話すことができたのです。
話題はVR卓球に移り、一緒にプレイしてみることにしました。少しやってみると、もはや物理的な距離を感じなくなってきました。VRの可能性は無限です。ちょっと残念なことは、まだ全員がVRゴーグルを持っていないということでしょうか。とりあえずスマートフォンを使えばハンスさんのVRツアーには参加できますが、このツアーには全てのスマートフォンが完全に対応しているわけではありません。実際、今回のツアーにはスマートフォン使用の方がいましたが、技術的な問題で結局参加できませんでした。でもVRゴーグルを使用しているハンスさんと私の間では何も問題なく、私たちは正に同じ場所で話しているかのように感じ、うまくコミュニケーションが取れました。本当に楽しい体験でした。
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僕はフェイスブックでベレンさんの長いコメントを見つけて、とてもとても嬉しくなりました。以前より私たちの記事や動画はみなさんからいい反応をいただいていますが、VRはもう一つの次元への扉を開いてくれたようです。大切なことは実在する人の間の意味のある繋がりで、これは小さな規模のグループだとうまく行きます。例えばフェイスブックのような大規模なSNSの中では、1000人、いいえ10000人以上の人たちと繋がることができ、写真に「いいね」や「ハート」を送ってくれますが、それ以上の深い意味はありません。その中で本当の友達関係を築けたのは何人くらいいるのでしょう?わずか10人でも深い絆を築いて、交流を続けたりできるのでしょうか?現実の世界では同時に5人と会話するのは難しく、10人以上とはもはや不可能ですよね。メンバーの数が増えると浅い付き合いになってしまいますが、これはネットの世界でも同じなのです。
ソーシャルVRは現実の世界のシュミレーションのようなもので、実世界と同じように機能します。1万人の人たちがうろうろしているVR空間の中では、なかなか親しい関係を築くことはできません。しかし今回のベレンさんとの会話は本当に有意義だと感じました。2、3人もしくは4人くらいの少人数でのコミュニケーションは、誰もが参加して意見を言い合うことができます。ベレンさんと僕はお互いに卓球が好きなことが分かったので、VR内で卓球したのですが、いい体験となりました。いつも僕の対戦相手はAIロボットでしたが、次もベレンさんと卓球するのが楽しみになりました。「この(会話の)時間では、世界の遠い場所にいるという物理的な距離はなくなり、VRには果てしない可能性を秘めているように感じました。」とベレンさんが言ったように僕も同じように感じたのです。
VRはどんどん進化し、使いやすく、また安価になってきています。VRゴーグルはもっと小さく軽くなり、ゴーグルはほとんどストレスを感じないような大きさになるでしょう。家にいながらどこでも行け、どんな姿形にもなることができ、簡単にいろんなことを体験できるのです。世界中どこからでもアクセスが出来、世界中からアクセスした人たちと同じ部屋で仕事をするようなこともできます。このようにVRでできることは本当に素晴らしいのですが、最終的に意味のある繋がりを持ったり、協力して何かをやったり、一緒に遊んだりできるのは同じ気持ちを持った人とだけなのです。一般的な観光地の煩わしい雑踏から離れ、小さな規模で冒険したり楽しんだりできる場所である多治見でVR体験を行いたい理由はこういうことなのです。VRの世界でその場所やそこに住む人たちのことが分かると、そこから一歩踏み出して、チケットを買い、実際に来て、町の雰囲気を感じ、その地の食べ物を食べ、そこに住んでいる人たちと繋がっていくかもしれません。
最後に、僕たちのVR多治見ツアーは新しい世界に無限に開かれたドアです。ベレンさんとの会話や卓球はそのいい例えになりました。また僕には、美しいヒーリング効果のあるVRソフトを紹介し、案内してくれるアメリカ人のソフトウェア開発者の友達がいます。僕は疲れを癒すために時々そのVR世界に入ります。その他にも色んなことを教えてくれる友達がたくさんいます。そしてVRの世界にはもっともっとたくさんのことが待っています。このVR世界はまだ始まったばかりです。今回VRでベレンさんと出会って、彼のホームタウンである台湾南部に行って、そこの地元料理を食べてみたいなぁなんて思ってしましました。
VRのおかげで僕たちの世界は近くなりました。このちょっと変わった素晴らしい方法で、実際にはどんなに離れていても、次の瞬間に再会できるというのは目を見張るものがあります。VRは新しくて素晴らしい体験へのドアが開かれている世界です。ベレンさんとの初めてのVR卓球の先に、僕たちを待ち受けているものは何だろうとワクワクします。それは間違いなくもっとたくさんの世界への扉、もっともっとたくさんの・・・。
VRツアーについて
推奨VR装置について
このツアーを体験するためにお勧めのVRゴーグルはオキュラス・ゴーというVRゴーグルです。私たちの提供するVRツアーで使用しているVタイムというVRソフトは無料でダウンロード出来、オキュラス・ゴー以外のゴーグルにも対応しています。詳しくはVタイムのサイトをご覧ください。